東日本大震災(2011.3.11)まとめ
2011年3月に発生した東日本大震災について、地震・二次災害・震災が影響を与えたものをまとめておきます。
東日本大震災
名称
「東日本大震災」と呼ばれる災害は、津波や液状化現象などの二次災害も含めた包括的な名称です。
地震のみについては「東北地方太平洋沖地震」と気象庁が命名しています。*1
地震の規模
東北地方太平洋沖地震の概要については以下です。
名称 | 東北地方太平洋沖地震 |
発生時刻 | 2011(平成23)年3月11日 14時46分18.1秒 ごろ |
震源地 | 三陸沖 |
緯度 | 北緯 38° 6.2’ |
経度 | 東経 142° 51.6' |
最大震度 | 7 |
マグニチュード(M) | 9.0 |
深さ | 24km |
観測範囲 | 北海道・本州・四国・九州を含めた日本の広範で観測 |
この地震については緊急地震速報が発表されました。
また、津波警報についても日本の広い範囲で発表されました(後述。現在は全て解除されています)。
最初に気象庁が発表した速報値のマグニチュードは ”M7.9” でしたが、再計算によって地震から2日経った3月13日に ”M9.0” へと改められました*2。
各地の震度(震度3まで)
都道府県ごとで観測した最大震度を以下です。
震度 | 都道府県 |
---|---|
7 | 宮城県(栗原市) |
6強 | 福島県 茨城県 栃木県 |
6弱 | 岩手県 群馬県 埼玉県 千葉県 |
5強 | 青森県 秋田県 山形県 東京都 神奈川県 山梨県 |
5弱 | 新潟県 長野県 静岡県 |
4 | 北海道 岐阜県 愛知県 |
3 | 富山県 石川県 福井県 三重県 岐阜県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 |
前兆地震
東北地方太平洋沖地震が発生する2日前に、前兆と考えられる地震が発生しています*3。
この地震により津波注意報が発表されました(現在は解除されています)。
発生時刻 | 2011(平成23)年3月9日 11時45分 ごろ |
震源地 | 三陸沖 |
最大震度 | 5弱 |
マグニチュード(M) | 7.3 |
深さ | 8km |
余震
東日本大震災の余震は、10年経った執筆現在でも続いています。
東北沖で発生した地震は57万回を超えています*4
最近では、今年の2月12日に福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生しました。
詳しい情報は、以下にまとめてあります。
二次災害
津波
津波は、東日本大震災において特に甚大な被害を及ぼしました。
太平洋に面した地域のほぼ全てに大津波警報・津波警報が発表されました*5。
日本全体でも津波注意報以上の情報が発表され、多くの地域で津波を観測しました。
これらの津波警報・注意報等は、地震発生2日後の13日18時ごろに全て解除されています。
津波を観測した代表的な地域は以下です。
なお、津波観測計が故障等でデータが欠損してしまっている場合があります。
観測地域 | 津波の高さ | |
---|---|---|
福島県 | 相馬 | 9.3m以上 |
宮城県 | 石巻市鮎川 | 8.6m以上 |
岩手県 | 宮古 | 8.5m以上 |
岩手県 | 大船渡 | 8.0m以上 |
青森県 | 八戸 | 4.2m以上 |
北海道 | えりも町庶野 | 3.5m |
液状化現象
砂地盤に含まれている水が振動により、地面が液体状になって被害を及ぼす現象が発生しました。
千葉や茨城、東京など多くの地域で発生し、断水やガスの寸断などライフラインに著しい被害を与えました*6。
東京電力福島第一原子力発電所事故
地震が発生した1時間後、津波に襲われた福島第一原子力発電所は電源を喪失して制御ができなくなりました*7。 電源を喪失し核燃料の冷却ができなくなったため、核燃料が自らの熱で溶けはじめて崩壊していきました(メルトダウン)。
この崩壊によって水素や水蒸気が充満して、1・3・4号機では水素ガス爆発を起こしました。
東日本大震災発生直後は、半径20kmを避難指示として住民が避難することになりました。
その後は段階的に解除されるものの、執筆現在も帰宅困難区域に設定されている地域があり、帰れない方がいます。
福島第一原発は、執筆現在で2051年ごろを目処に廃炉を目指しています。
被害状況
東日本大震災による死者や負傷者、建物被害については以下です*8。
人的被害
死者 | 15899名 |
---|---|
行方不明者 | 2526名 |
負傷者 | 6167名 |
住居被害
全壊 | 122000戸 |
---|---|
半壊 | 283117戸 |
全焼・半焼 | 297戸 |
床上浸水 | 1489戸 |
床下浸水 | 9787戸 |
インフラ被害
道路破損 | 4198箇所 |
---|---|
橋梁被害 | 116箇所 |
山崖崩れ | 207箇所 |
堤防決壊 | 45箇所 |
この震災が影響を与えたもの
東日本大震災によって与えられた影響をまとめます。
私が個人的に注目したものも含めてピックアップしてみました。
帰宅困難者
地震が平日(金曜日)の昼間に発生したことにより、通勤・通学者の多くが帰宅できない状態となりました。
津波や火災の被害があまりなかった1都3県でも、2万人を超える帰宅困難者が発生しました*9。
無理に帰宅をしようとする人で、バスやタクシーには長蛇の列ができました*10。
このような状態だと、渋滞で緊急車両が通過できなくなるなど問題が発生する可能性があります。
すぐに帰宅ができない状態と考えられる場合は、無理に帰らず職場に留まるなどの判断が必要です。
計画(輪番)停電
福島第一原発を失ったことにより、震災当時は電力が大きく不足すると考えられました。
そのため事前に時間を通告した上で停電を行う「計画停電」を行うこととなりました。
東京電力管内の多くの地域に対して通告されました。
しかし実際には、茨城・千葉・静岡・山梨の一部地域のみで行われ、3月14日〜3月27日とごく短い期間のみに留まりました*11。
これは、暖房の需要が減ったことと火力発電の再稼働を行ったことにより、電力が賄えたことによるそうです。
この1年後には、計画停電の話を全く聞かなくなりました。
ACジャパン(公共広告機構)
東日本大震災により企業がCMを自粛したことにより、一時のCMがほとんどAC(公共広告機構)になりました。
「あいさつの魔法*12」を筆頭に、金子みすゞの詩を元にした「こだまでしょうか*13」などのCMが一日中流れました。
なお、これら2つのCMは東日本大震災のために作られたものではなく、どちらもキャンペーンを行っていたなかでの放送でした*14*15。
あの放送が繰り返されていたのは、本当にたまたまだったんですねー
最後のサウンドロゴ*16が「不快」と感じる人が多かったようで、無音*17になったり、サウンドロゴを変更したりしました。
被災地域における地デジ化の遅延
2011年7月24日に計画されていた地デジへの完全移行が、岩手・宮城・福島の3県限定で1年間見送られました*18。
LINEの誕生
LINEは東日本大震災よりも ”後” に始まったサービスです*19。
震災当時は、電話やメールの利用が過多になってほとんど安否確認などの連絡ができませんでした。
その一方で、Twitter(SNS)の方が繋がりやすかったと言ってた人がいたような気がします。
それを解消しようとしたのがLINEです。
「既読」機能はメッセージを送らなくても安否が確認できるという意味もあって実装されたようです。
津波警報の改定
東日本大震災では津波を過小評価して警報を発出してしまったため、気象庁は津波警報・注意報を分析手法から改定しました*20。
情報発表についても「巨大」と表現したり「5段階」で発表するなど、表現が簡潔になりました。
災害アーカイブ
国会国立図書館による東日本大震災アーカイブが提供されています*21。
画像や文章、動画などさまざまな形式で提供されています。
津波の写真など生々しい画像も多くあるため、閲覧には注意してください。
おわりに
執筆現在、震災が発生して10年がちょうど経ちました。
被害にあわれた方へのご冥福をお祈りいたします。
*1:https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/gaikyo/monthly/201103/monthly201103.pdf, p63, 2021/03/11 より参考
*2:https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/gaikyo/monthly/201103/monthly201103.pdf, p63, 2021/03/11 より参考
*3:https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/gaikyo/weekly/zenkoku/zenkoku20110311_10.pdf, p1, 2021/03/11 より参考
*4:東日本大震災からの10年間 地震の数は年々減少も注意 気象庁 | 東日本大震災 | NHKニュース, 2021/03/11 より参考
*5:https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/gaikyo/monthly/201103/monthly201103.pdf, p64, 2021/03/11 より参考
*6:asahi.com(朝日新聞社):傾く家・使えぬトイレ 首都圏の水辺、液状化のつめ跡 - 東日本大震災, 2021/03/11 より参考
*7:福島第一原子力発電所事故 - Wikipedia, 2021/03/11 より参考
*8:https://www.npa.go.jp/news/other/earthquake2011/pdf/higaijokyo.pdf, 2021/03/11 より参考
*9:帰宅困難者、2万人超 都庁舎など避難所に: 日本経済新聞, 2021/03/11 より参考
*10:【東日本大地震】帰宅の足にバス・タクシー・レンタカーに殺到…首都圏 | レスポンス(Response.jp), 2021/03/11 より参考
*11:東日本大震災による電力危機 - Wikipedia, 2021/03/11 より参考。なおソース記事はリンク切れ
*12:AC ジャパン CM あいさつの魔法 1分フルバージョン2010年度全国キャンペーン - YouTube, 2021/03/11 より参考
*13:ACジャパン CM 金子みすゞ「こだまでしょうか」(朗読:UA)60秒 - YouTube, 2021/03/11 より参考
*14:あいさつの魔法|広告作品アーカイブ|ACジャパン, 2021/03/11 より参考
*15:こだまでしょうか|広告作品アーカイブ|ACジャパン, 2021/03/11 より参考
*16:ACジャパン ロゴ - YouTube, 2021/03/11 より参考
*17:AC大量CMに苦情殺到…脅迫電話も/芸能・社会/デイリースポーツonline
*18:ACジャパン ロゴ - YouTube, 2021/03/11 より参考
*19:東日本大震災をきっかけに誕生したLINE 進む防災での活用|TBS NEWS, 2021/03/11 より参考
*20:気象庁|津波警報の改善のポイント, 2021/03/11 より参考
*21:国立国会図書館東日本大震災アーカイブ, 2021/03/11 より参考